ウイスキーのふるさと、仙台・宮城峡蒸留所に行ってきた

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近年のハイボールブームで注目度の高まったウイスキー。
海外だけではなく、日本にもいくつかの蒸留所(ウイスキー工場)があり、
その1つが仙台にあるのです。

自分自身が仙台に住んでいるということと、
蒸留所やウイスキーの作られ方に興味を持ったことから、
仙台市作並にある、ニッカ・宮城峡蒸留所を見学してきました。
 
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■蒸留所までの道のり
仙台駅から仙山線に乗り、作並駅まで向かいます。
快速であれば40分程度で作並に到着します。

土日祝日は、作並駅と蒸留所を結ぶ無料送迎バスが出ています。
駅に到着する電車に合わせて迎えに来てくれますので、
すぐに乗ることができ、乗車後5分くらいで蒸留所に到着します。
 
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素晴らしいウェルカム感……!



■見学開始
案内所で申し込みをして少し待っていると、
ガイドさんがウイスキーの製造工程順に敷地内を案内してくれます。
ちなみに、見学可能時間は9:00~15:30となっています。

●見学コース1 キルン塔

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ウイスキーは大麦から作られます。
キルン塔は、その大麦を乾燥させるための施設です。

乾燥させる際の燃料にピート(泥炭)を使うことで、
大麦にピート香と呼ばれるスモーキーな香りが付き、
それによってウイスキーにもスモーキーな風味が生まれます。

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乾燥に使われるピート。
重そうに見えますが、実際に持ってみると結構軽いです。



●見学コース2 仕込棟
仕込棟では、糖化と醗酵が行われます。
糖化は、ウイスキーの元となる麦汁を作り出す工程。
醗酵は、麦汁をアルコールや香味成分を含む「もろみ」にするための工程です。
 
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糖化が行われるマッシュタン(糖化槽)

キルン塔で乾燥させた麦芽を粉砕し、
このマッシュタンの中で温水を加えて攪拌します。
すると、麦芽内のデンプンが糖分へと変わり、麦汁になります。

マッシュタンで搾り取られた麦汁は、隣にある醗酵槽へ送られます。


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1階から2階に突き抜けた醗酵槽の上部。
この大きな長い筒が、仕込塔の中に20本以上あります。

麦汁は醗酵槽の中で酵母を加えられ、
酵母の力によって糖分がアルコールと炭酸ガスに変わっていきます。

「お酒をつくる」というと、日本酒造りにおける酒蔵の頭にあったので、
仕込作業は職人の手作業によって行われていると思っていましたが……、

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ここでは、すべてコンピューター管理!
ハイテクゥ!

ちなみに、仕込工程では、蒸留所の脇を流れる「新川川(にっかわがわ)」の水が使われています。
ニッカに絡めて川に名前を付けたのでは? と考えてしまいがちですが、
蒸留所建設前からこの名前が付いており、似ているのはまったくの偶然だそうです。



●見学コース3 蒸留棟
醗酵によって生まれた「もろみ」をここで蒸留し、ウイスキーの原酒を作り出します。
アルコールの香りが漂っており、まさにここで原酒が生まれているのだと実感できます。
 
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蒸留に使われるポットスチル(蒸留器)。
1本1本にかかっている注連縄が印象的。

できあがった原酒をここで見ることはできませんが、
原酒は無色透明で、ウイスキー独特の琥珀色は付いていないとのこと。



●見学コース4 貯蔵庫

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蒸留後にできたウイスキー原酒は樽に詰められ、ここで熟成されます。
熟成の過程で樽の成分が原酒にしみ出ることで、
ウイスキー独特の風味や色が時間とともにゆっくりと加えられていきます。
 
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熟成期間順に香りを嗅ぐことができる樽。
1カ月、5年、12年熟成の3種類があり、それぞれ香りが違います。
熟成期間が長いほど香りにとげとげしさが無くなり、木(樽)の香りが付いていました。

なお、熟成後の色合いや風味は、
樽の大きさ、木材の種類、それまでの用途(※)などによって変わるそうです。
※ バーボン用やシェリー(ワイン)用など

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ウイスキー原酒が入った樽は横に並べて貯蔵されます。
1つの貯蔵庫には、ボトル換算で2,000~10,000本分のウイスキーが貯蔵されているのだとか。

貯蔵庫内では、仕込工程のような人為的な温度管理はありません。
周囲に日差しが降り注ぐ夏の暑い日も、雪が降り積もる冬の寒い日も、
温度管理はすべて自然にゆだねられます。
ウイスキーは人と自然の共同作業によって作られているのです。



●見学コース5 無料試飲コーナー
見学の後は、無料試飲コーナーでウイスキーの試飲が可能!
宮城峡蒸留所で熟成された「宮城峡12年」をはじめとして、
「鶴17年」「アップルワイン」の試飲ができます。
カウンターの方にお願いすれば、ハイボールにしてもらうこともできます。

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アップルワインはその名の通り、りんごで作られたワインです。
甘くて飲みやすかったです。


さらに今回は、GW中の特別キャンペーンが開催されており、
WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)2012のブレンデッドモルト・ウイスキー部門で
世界最高賞を受賞した「竹鶴17年」も試飲できました。
 
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宮城峡蒸留所で17年以上にわたって熟成されたウイスキーと、
北海道の余市蒸留所でこちらも17年以上熟成されたウイスキーをブレンドして作られた逸品です。
ストレートで飲んでも、とげとげしいアルコール感はなく、木の香りの後味が長く続きます。
ちなみに名前が似ていますが「鶴17年」とは別の商品です。



■見学終了後のお楽しみ

試飲も含めて約1時間の見学終了後は、お土産ショップへ。
 
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宮城峡、竹鶴など、さまざまな銘柄のウイスキーが販売されています。
中には宮城峡蒸留所でしか購入できない限定ウイスキーも!


展示スペースには、ニッカが今までに生み出してきたウイスキーのボトルがズラリと並んでいます。
 
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蒸留工程で使われるポットスチルを模した、ユニークなボトルを発見!

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残念ながら非売品だそうです。

展示スペース隣には有料試飲コーナーがあり、
1杯(15ml)200円~の価格設定で、いろいろなウイスキーを飲み比べることができます。
ショップで気になったウイスキーの味わいを確かめるのにもおすすめです。
 
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なんと、1,000本限定のウイスキー「竹鶴35年」の試飲もできます!
気になるお値段は、1杯 1,700円!
 
それまでに何杯か飲んでいたせいで、軽く酔いが回っていたこともあり、
「確かに高いけれど、ここまできたら飲むしかない!」と勢いで注文。
しかしながら、注文後は、「35年」という自分の年齢以上の年数と、その値段の高さ故に若干緊張。
酔いが醒めました……。
 
気になる味わいは、口当たりがなめらかで深みがある上に、
のどを通った後も心地よい余韻が長く続き、「良いなぁ~」と思わせるものでした。
 
 
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試飲コーナーでは、牛タンジャーキーやチーズなどのおつまみまで買えてしまいます。
至れり尽くせりとはこのことか。
おつまみを食べながら順調なペースで飲み続け、
結果的に"試飲"コーナーであるはずなのに、1時間以上のんびりしていました。


【まとめ】
工場見学で「なるほど!」となった後は、
真っ昼間から有料試飲コーナーで飲み過ぎてしまい、
帰りは若干の頭痛を覚えながら電車に揺られてきました。
しかし、まったく悔いはなし! 
 
ウイスキー好きの方にはかなりおすすめのスポットです。
受付時の名簿を見ていたところ、東京から見学に来ている方もいました。
ウイスキーにあまり関心のない方も、きっと新しい発見があると思いますので、
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
作並温泉も近いですよ!
 
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おまけの1枚。蒸留所敷地内の池では白鳥を間近で見られます。
白鳥好きのあなたもぜひ足を運んでみては?

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