最終巻から漫画が読みたい!
「知ったかぶり」と言われて
知ったかぶりは恥ずかしいことです。
「その話どこかで聞いた」と思って適当に話していると「なんだこの人ぜんぜんわかってないじゃん」と思われ、知らないうちに痛い人として扱われてしまうことがよくあります。
何も好きこのんで痛い人になりたいわけじゃない。博識だと思われたいわけじゃない。何となくわかったような気がしてしまうから駄目なんだ!
漫画を最後から読むことは、さらに知ったか度合いが高まります。ドカベンだって最初は柔道の漫画だったし、あしたのジョーも試合のシーンより少年院でのエピソードのほうが膨大であるため、そのつもりで話をしていると思わぬ恥をかくことになりかねません。
しかし、読むべきものやするべきことがたくさんある現代人にとって、大幅なショートカットができる「漫画結果読み」は甘い誘惑がありすぎます。たとえ知ったか認定されたとしても!
人生に結果オーライがあるなら漫画にも結果オーライがあっても良いのではなかろうか!
「なんだよ...夢落ちか...」という失望の先に新たなる漫画道が開けているのではなかろうか!
芸能人だって良い時を見てからプロフィールを見てさかのぼるじゃない!
「オレはこう見えても昔は...」的な昔話はみんな大好きじゃない!
......という経緯で、「漫画最後から読み」細々とをはじめることにしました。
(※企画の性質上、ストーリーに関する記述があります。ご了承ください)
第一回「迷いはないのか!ちょっとは迷え!宗方不在でさらにカオスな『エースをねらえ!』最終巻」
第一回は個人的にどう収拾をつけたのかが気になる「エースをねらえ!」を読んでみました。作者の山本さんが現在新興宗教の教祖様である、という話を聞いてから「エースをねらえ!」にも神が降りているのか?と気になりまくり、いつかは読んでみたかった漫画です。
「エースをねらえ」の前知識は「岡ひろみが宗方コーチから過酷な修行を受けながら、ライバルをなぎ倒しテニスで世界征服」「みそっかすな岡が宗方に見初められる話」くらいのものでした。有名なシーンはよくありますけど、どう終わったかまったく知りません。
ただ、なによりエースといえばお蝶夫人ですよね。2次元の萌えとか3次元の女子力とかには遠く及ばない高貴かつ絶対的存在! すでに5次元くらいの乖離した次元のものを感じます。そもそも「夫人」とはなんなのか! 謎過ぎる! マーベラス!
まさかの宗方不在&お蝶空気
実際読んでみたところ、思っていた内容とそんなに大きなブレはありませんでした。しかし、いつの間にか宗方コーチが亡くなっており、代わりに「宗方以上
に厳しい」桂コーチや藤堂がビシビシ岡をいじめます。宗方コーチ時代でも岡の健康状態が不安になるくらいでしたが、今回のコーチはさらに危険度が増している様子。誰か止めて!

桂コーチ。宗方との約束を守るために永平寺で修行生活をしていたらしい。このコマだけ見たらテニスの漫画とはにわかに信じがたい。
そして、楽しみにしていたお蝶夫人も全体的に空気。あんなにおいしいキャラが出番すらなく肉離れで降板とは......。「エースをねらえ!」の盛り上がりは中盤だったのだと思い知らされました。
しかし、病室でも(無駄に)エレガンなお蝶にはしびれた。
やはり名作といわれているだけあってなかなか引き込まれる内容です。映画の予告編のような繊細なモノローグと心理描写! そして高めな感情のコントラスト! 心理描写大げさすぎ! この子たちには穏やかなときは訪れないのではないのだろうかと思えるほどです。これは感情移入せずにはいられない!

ひろみのデータを取られただけでこの感傷。いや、そりゃあこんだけ強くなったわけだし取られるよね、みたいな・・・。
キテる!奇行だらけのメインキャラ
何より個人的に気にいったのは、まったく説明なしにキャラが謎の行動をとりはじめるシーンです。一言で「キテる」としか言いようがありません。
最終巻から読んでいるため、前提や複線がわからないのは当たり前といえば当たり前なのですが、それを差し引いても激しい違和感があるシーンがたくさんありました。なんというか、置いてけぼりです。1巻から読んでいない一見さんは立ち入り無用なのか、と思うほど......。
たとえば、岡がタオルを嗅ぎながら藤堂と二人で焼き芋を食べたことを思い出すシーン。
試合中に。

衝撃シーン。
しつこいようですが試合中。
なんなのか。そんなになにか衝撃的な思い出があるのか。いやあってもいいけど今なのか。そもそも焼き芋の思い出で頭を切り換えようとするなんて斜め上すぎる! バックに花の代わりに落ち葉が舞っているのもシュールすぎ。というかおかしいって。
ものすごい緊張感の中での突然の展開。このエキセントリックさが王者の風格なのか。「王者の孤独」めいたエピソードがありましたが、王者だからというよりは「正直ついていけない」ところに孤独の原因はあるのではないでしょうか。「あなたの強さが悲しいのです」と、藤堂じゃなくとも言いたくなってしまいます。今思うとそれほどの含みを持った言葉だったのか・・・・・・。
さらに、藤堂に「指導とはなんたるか」を教えるために、前触れなしで瓦割りを見せつける千葉先輩のシーンも秀逸。
藤堂の顔とセットで見るといかに唐突だったかがわかる。
しかし千葉先輩の作画が適当すぎ。
なぜか得意げな千葉。
しかも「やってみせよう」と上から目線。
誰も頼んでいない。
そして藤堂の反応も「えっ!先輩がですか?」などと、あきらかにいぶかしげな様子です。そして千葉先輩がそこまでして伝えたかったことはいまいちわからぬままでした。このシーン、いるの......?
(後日談:あとから調べてみると千葉先輩は黒帯所有ということが発覚。えっ!言ってよ!藤堂ですら「千葉先輩空手なんかやるのか?」っつってんじゃん!!)
まとめ
■最終巻を読んで得た知識まとめ
今後は「エースをねらえ!」の話題が出たら積極的に挙手をして以下のようなことを発言したいと思います。嘘は言ってない!!
・岡ひろみは相手のペースに呑まれまいとするとき、タオルを嗅ぎながら焼き芋を思い出す
・ウインブルドンの選抜選手を決める段階で、お蝶夫人はまさかの肉離れで離脱する
・千葉先輩、藤堂へ瓦割りでメッセージ。伝わってなさそう!
・桂コーチ、「女というのはすぐれた男から大切に育てられなければ道をきわめることができない」というフェミニスト団体から怒られそうな「オレ論」を展開する
■一巻から読み直したい度 ★★★★☆
ここまで来るまでの経緯や努力、ライバルの懐柔などの部分が一番おいしいと思われますので、ぜひ読みたい! また、最終巻ではすっかり叶恭子のようになってしまったお蝶夫人ですが、彼女がバッキバキに尖っていたころはぜひともチェックしたいところです。お蝶ファンとして。レズとしか思えないお蝶と岡のラブラブダブルスは22世紀まで残したい愛の軌跡です。
しかし、宗方の死亡がわかった時点で「だいたいどんな話かわかった」気になってしまいました(知ったか兆候)ので星は4つとしたいと思います。
※著作権について
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